介護職でなくても知って欲しい「朝起きてからの動作」の確認

2022年1月10日

あなたは「あさ目が覚めた瞬間」から「身だしなみを整える」まで、どんな動作をしているか考えたことがありますか。

多分、いちいちそんなことを考えたりしないと思います。自分自身のことですし、毎日やってることですから。

でも、介護の現場ではそのひとつひとつを考えて行う必要があります。親の介護であっても施設の利用者であっても、他人のことですから、どんな動きをするかは最初は詳細にわからないのです。

介護では、こうした起床からの一連の動作を「モーニングケア」と言います。どこまでを含めるかは施設によって微妙に異なりますが、概ねやっていることをまとめます。

モーニングケア|朝起きてからすること

起きる。

そんな当たり前のことにもたくさんの動作があります。普通の人でもパッと起きる人もいれば、ダラダラと起きる人もいます。人それぞれ動作は違ってきます。

介護の基本は、本人のできることはや自分で行い、できない部分のみを介護者が介助します。時間がかかると手伝いたくなりますが、それは本人の能力を維持するチャンスがなくなりますのでNGです。

起床|体調|起き上がり|立ち上がり|立位|座位|着替え|歩行|トイレ|洗顔|整容|

目覚めから起きて着替えて、トイレに行き顔を洗い、身だしなみを整えるまで、介護者の目線でいくつか列挙してみます。

  • 目覚めたときの体調はどうですか。めまいはありませんか。
  • 自分で起き上がれますか。つかまれば起き上がれますか。支えがあれば起き上がれますか。全く起き上がれませんか。
  • 寝返りは打てますか。横を向けますか。
  • 起き上がって座っていられますか。
  • 下着は汚れていませんか。汗をかいていませんか。皮膚は乾燥していませんか。むくみはありませんか。
  • 着替えは自分でできますか。パジャマは脱げますか。服は自分で選べますか。服を着れますか。うまく着れますか。
  • ズボンの上げ下げに立ち上がれますか。つかまれば出来ますか。手が届きますか。
  • ボタンを閉められますか。襟は直せますか。裾は直せますか。靴下履けますか。
  • 立ち上がった状態を保てますか。車椅子が必要ですか。
  • 歩くときフラつきはないですか。体が傾いたりしませんか。
  • トイレは自分でできますか。ズボンの上げ下げは大丈夫ですか。座っていられますか。拭くことができますか。手は洗いましたか。
  • 顔を洗えますか。タオルは絞れますか。うがいはできますか。歯磨きはしましたか。入れ歯は入れましたか。
  • 髪型は自分で整えられますか。髭は剃りましたか。化粧水つけますか。目ヤニはついてませんか。メガネは汚れていませんか。
  • 水分はとりますか。

ざっと思いつくだけ書いてみました。個人の能力にもよりますが、細かく見れば起きるだけでもやることがたくさんあります。できることが分かっていれば見守りをするだけです。しかし、介護度が高い人は自分でベッドから移動できなかったり、失禁があったりさらにやることが増えていきます。熱っぽい時は検温したり、血圧を測ったりします。

「起きる」は毎日のことです。在宅の場合でも介護者である家族が”昨日と何か違う”といった日々の微妙な変化に気づく観察能力が重要になります。これはなかなか大変なことです。

介護職はこうしたことを技術や理論として覚えています。

まとめ

今回は、朝起きてからのことをお話ししました。

介護って言われるとどうしてもイメージが先行してしまいがちです。でも、実際には誰もが毎日やっていること、日常生活なんです。初めは、なんとなく毎日やっている動作のほんの一部に不安があるだけです。

日常生活におけるひとつひとつの動作。それを細分化していくと「起きること」だけでもかなり詳細になっていきます。細分化された動作を注意深く見ることで、「出来ることは維持」しつつ「出来ないことも出来る」ようになってもらう。

大切なのは、”出来ない”に目を向けるのではなく”出来る”に目を向けること。出来ることが増えれば、本人の生活の質(Quality of Life)は向上していくでしょう。